ウォーキング with ダイナソー (2013):映画短評
ウォーキング with ダイナソー (2013)ライター2人の平均評価: 3.5
実写とCGの合成で白亜紀をリアルに再現
太古の面影を残すアラスカの大自然の実写映像と、生物学や考古学に基づいて再現された恐竜のCG映像を合成させることにより、白亜紀の地球を壮大なスケールでリアルに再現。これは、恐竜好きなら老若男女問わず大興奮することだろう。
だが、この恐竜たちが愉快に喋りだした途端、にわかに違和感が生じ始める。子供には取っつきやすいのかもしれないが、その一方で大人の観客が興ざめしてしまうであろうことは否めない。
劇中で描かれる生存競争の厳しさは、そのまま人間社会に当てはめることもでる。様々な教訓を含んだストーリー構成は悪くない。そういった意味でも、ファミリー向けエンターテインメントとしてはよく出来ている。
リアルな造形とは裏腹に擬人化された“喋る”恐竜
3Dメガネを装着して現れる7000万年前の世界。英国BBCのドキュメンタリースタッフの想像力によって、精緻なCGで再現された白亜紀と恐竜たちの存在感は申し分ない。
草食恐竜のファミリーが肉食恐竜の魔の手からサバイバルを繰り広げる。子供たちに生きる厳しさを伝えようという主旨はいい。ただ、彼らが喋るのだ。リアルな造形とは裏腹の擬人化されたキャラクター。その違和感は最後までぬぐい去ることが出来なかった。デフォルメされた造形の方が、感動を呼んだのではないだろうか。
ネイチャードキュメンタリーとはあらゆる意味で対照的。無言の生きものたちの生き様のほうが雄弁であることを、逆説的に教えられる。