ジャッジ! (2013):映画短評
ジャッジ! (2013)ライター2人の平均評価: 4
広告業界の裏側を描く、意外な拾いモノ
堂々と「2014年の映画!」と言われると首を傾げるが、クリエイターと営業、部署は違えど、広告代理店を舞台にした『そろばんずく』以来の快作なのに間違いない(どちらもフジテレビ製作!)。
序盤の無茶な要望を出すクライアントとの攻防戦は、本作の永井監督も参加した『いぬのえいが』でも描かれたが、オトナの事情が入り乱れる国際広告賞の内情を描く本筋は、かなり挑戦的。ロビー活動など、国際映画祭の内情とカブる点も興味深い。
それなりに読めたり、無理矢理にラブ要素を入れてくる展開はご愛嬌だが、ムダにカッコいいオープニングや『ア・フュー・グッドメン』オマージュなオチなど、甘く見ると痛い目に遭う拾いモノだ。
パンチの効いたギャグの数々が秀逸
いわゆる広告業界の舞台裏もの。初心を忘れたギョーカイ人の傲慢や怠惰を痛烈な自虐的ジョークで笑い飛ばしつつ、広告というものの本来あるべき姿を模索していく主人公を描いた物語は、世間の様々な業種にも重ね合わせることが可能だろう。
某2大広告代理店を明らかに茶化したり、実在の企業を引用してみたり、都市伝説的な業界ネタを皮肉ったりと、かなりパンチの効いたギャグはどれも秀逸。松本伊代ネタなんか大爆笑必至だ。
作り手が広告マンだからこその鋭い笑いの着眼点は、従来の日本映画にはなかなかないセンス。しかも、大半が一発ギャグで終わることなくストーリーに活かされているのが偉い。予定調和なオチも許せてしまう。