ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987 (2013):映画短評
ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987 (2013)アラフォー未満の世代に届いて欲しい
本作の直撃世代は筆者を含むアラフォーのはず。例えば『あまちゃん』の「春子の部屋」が80年代アイドル歌謡の世界なのに対し、少年・宮藤官九郎の部屋を埋めていたであろう『宝島』系ロックの延長ライン。ただし『少年メリケンサック』が取り上げたアーリー80sパンクではなく、時代は1987年。バンドブームと呼ばれるメジャー化現象が起き、BOØWYやブルーハーツが『夜のヒットスタジオ』に出演した頃前後の縮図がここにある。
当時の野外フェスではクドカンの地元・宮城でのロックンロールオリンピックが有名。87年のライブアクトはBEATCHILDともカブっているのだが、後者は豪雨に見舞われた不運により伝説化した。台風に直撃された第一回フジロックの10年前。しかし参加した7万2千人の“熱”は凄まじく、映画の前半は「主役は観客だ」とばかりに26年前の若者達を映す。
会場に足を運ばずとも“熱”を共有していた身としては、レッド・ウォーリアーズのシャケと岡村靖幸が舞台裏で話す姿だけで感涙。だが追体験世代による編集版も観てみたいと思った。ノスタルジーと切れてこそ、この記録は「今」と接続される「歴史」になるはずである。