あなたを抱きしめる日まで (2013):映画短評
あなたを抱きしめる日まで (2013)ヒロインの人生観に信仰心の本質を探る
たった一度の過ちで産んだ子供を修道院に奪われた女性が、その50年後に報道関係者の協力を得て、異国へ里子に出された息子の消息を追う。アイルランドで実際に起きた悲劇だ。
神の教えに背いた若い娘への罰としてはあまりに残酷な仕打ちだが、本作の根幹はカトリック教会の非人道を糾弾することではなく、実のところ我が子を想う母の愛情に涙することでもない。
それは、喜びも悲しみも全てをありのままに受け入れ、他人を恨みも憎みもせず、一途に宗教を信じる主人公フィロミナの確固たる人生観だ。思えばシスターたちの行為もまた、やはり宗教に帰依してのこと。人間と聖書の矛盾、そして信仰心の本質について深く考えさせられる。
この短評にはネタバレを含んでいます