皇帝と公爵 (2012):映画短評
皇帝と公爵 (2012)感覚的、感情的に戦争の悲壮感が伝わってこない
皇帝ナポレオンのポルトガル侵攻における“ブサコの戦い”を題材にした歴史ドラマ。しかし、ここでは戦争そのものよりも前線で戦う兵士たちや逃げ惑う一般庶民の人間模様に焦点が当てられ、権力者の野心や思惑の犠牲となるのは名も無き弱者ばかり…という世の常を描いていく。
ゆえに、「ワーテルロー」や「戦争と平和」のようなスペクタクルが望めないのは仕方なかろう。だが、感覚的および感情的に戦争の悲壮感が伝わって来ないのはいかがなものか。全体的にエピソードを詰め込み過ぎて散漫になった印象は否めず、ゆったりし過ぎたテンポが各登場人物への感情移入を妨げてしまう。豪華な俳優陣を揃えたワリに大作感に乏しいのも残念だ。
この短評にはネタバレを含んでいます