自由と壁とヒップホップ (2008):映画短評
自由と壁とヒップホップ (2008)占領下のアラブ青年たちが叫ぶ“ファイト・ザ・パワー”
このドキュメンタリーを観れば確実にDAMのファンになる。イスラエル領内におけるパレスチナ人ヒップホップ・グループのパイオニア。冒頭からパブリック・エナミーのチャックDが登場するが、かつて彼が提唱した「ラップ、人種、現実と技術」=ポリティカルな先鋭性はこの地で生々しく継承されていた。
印象深いのは、彼らの音楽が苛酷な現実に密着した政治活動として両親にも支持されていること。過激というより、地に足のついた好青年たちなのだ。
2003年に撮影開始、2008年に完成。ようやく日本公開されたが、まだ遅くはない。『ペルシャ猫を誰も知らない』(イラン)や『サウダーヂ』(日本)などと接続させたい必見作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます