僕がジョンと呼ばれるまで (2013):映画短評
僕がジョンと呼ばれるまで (2013)認知症改善の奇跡を通して描かれる老いの現実
基本的には“学習療法”と呼ばれる認知症改善プログラムの有効性を啓蒙するドキュメンタリー作品。この読み書きや計算を用いた単純な脳トレを、アメリカの痴呆症の老人たちに半年間に渡って実践してもらうのだ。
被験者それぞれの歓びあり悲しみあり苦労ありの人生を紹介しつつ、元気な頃とは別人のようになってしまった母や叔母に心を痛める家族の姿も捉えながら、カメラは学習療法によって見違えるほど回復していく老人たちの様子を追う。それはある意味で奇跡の瞬間だ。
映画はあくまでも、奇をてらうことなく介護施設の日常を淡々と映し出す。だからこそ、誰もが逃れられない老いの現実を改めて身近に考えさせてくれると言えよう。
この短評にはネタバレを含んでいます