イヌミチ (2013):映画短評
イヌミチ (2013)万田邦敏監督はフェミニストである
万田監督には、なぜ現代を生きる女性の心理が分かるのか?と毎度驚かされる。『UNLOVED』も『接吻』も夫人と共同脚本を務めたことも大きいが、ヒロインは自問した末に世間におもねることなく己の道を突き進む。女の方が男前なのだ。映画美学校の学生と製作した本作もしかり。
多忙な雑誌編集者が、見ず知らずの男性の飼い犬となって現実逃避を図ることで日常を見つめ直す。ファンタジーとリアルの境界線で女性の真理をあぶりだし、かつ現世と隔離された古民家で繰り広げられる密室劇のスリリングさもたまらない。
学生映画ゆえ未熟な部分はあるかもしれない。しかし大衆に迎合しない潔さと機知に富んだアイデアが詰まってる。
この短評にはネタバレを含んでいます