FORMA-フォルマ- (2013):映画短評
FORMA-フォルマ- (2013)どこに操られていくのか、見えない不穏さ。
ショットがやたら長い。定点キャメラが多い。ふた昔前に流行っただらだら撮り映画かと思う。しかし画面の冷たさと緊迫度が決定的に違う。それは徐々に凍りつくような底意地の悪い行動と台詞によって顕在化していくが、こうなると最初だらだら見えたショット、無駄ではないかと思えるシーンのすべてが意味を帯びてくる。この恐ろしく計算された脚本は吉田恵輔とコンビを組む仁志原了。吉田ならこの煮詰まった不穏さも引き攣った笑いへと転化するだろうが、坂本あゆみは生理的な嫌悪感を覚えさせるほどに容赦なし (当然原案は彼女だ)。やや演劇的な終盤25分の長回しよりむしろ、少なくとも表面的には何も起こらない公園での10分間が恐怖だ。
この短評にはネタバレを含んでいます