悼む人 (2014):映画短評
悼む人 (2014)人間の生と死を見つめる眼差しは真摯なのだが…
見ず知らずの死者を悼みながら各地を行脚する若者を主人公に、彼と関わることで改めて愛する者の死と向き合う人々の姿を描く。
亡くなった人が生前に誰を愛して誰に愛されたのか、誰に感謝されたのかを記憶するという主人公の意図とは裏腹に、そんな綺麗事では片付けられない個々の複雑な事情が綴られる展開は興味深い。いじめやDV、殺人といった社会の暗部に人間の業を投影しつつ、死という現実を直視することで逆に生命の尊さを訴える作り手の姿勢は真摯だ。
しかしながら、同時に物語の設定や構成に作為性が目立つことも否めない。特に主人公の行動心理は突飛かつ極端で、なかなか感情移入がしづらく、最後まで違和感が付きまとう。
この短評にはネタバレを含んでいます