ある優しき殺人者の記録 (2014):映画短評
ある優しき殺人者の記録 (2014)ライター2人の平均評価: 4
「奇跡」は手を抜かない仕事人に降りてくる!
『素晴らしき哉、人生!』に物凄く感動したという連続殺人者が、自分がこれから起こす「奇跡」をカメラマンに記録させる禍々しい設定。ヒッチコックの『ロープ』を彷彿させる86分ワンカット(風)。韓国語と日本語が飛び交う緻密な芝居のアンサンブルと熟達したカメラワークで、廃墟のマンションという限定された空間から特異なフィクションを築き上げた。
世界的にフェイク・ドキュメンタリーがマンネリとネタ切れに陥っている中、『オカルト』『超・悪人』『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』など執拗&孤高に同ジャンルを追求し続ける白石晃士は、ついにぶっちぎり純度の高い映画的時間を創出したと思う。堂々の傑作。エロのサービスも◎!
フェイク・ドキュメンタリーの鬼才が韓流ドラマを撮ってみた
キム・コッビがまた日本映画に出んの? 白石晃士監督がまたPOV方式のフェイク・ドキュメンタリー撮んの? そんな“またですか感”は否定できないが、明らかに『ありふれた事件』を意識した題材といい、カメラマン役で監督自身が出演していることで実現可能になった86分(ほぼ)ワンカット、ワンシーンといい、容赦ないヴァイオレンス&セックス描写といい、白石監督の集大成的な作品になったことは間違いない。
そして、なんといっても『オカルト』を超える衝撃のラスト。一歩間違えれば、トンデモ映画になってしまうところだが、これを韓国ロケ&キャストをやってしまったことに説得力を持たせてしまうほど、カタルシスに溢れている。