さまよう刃 (2014):映画短評
さまよう刃 (2014)復讐劇の説得力は韓国映画ならではの強み
体面を守ることが最優先の警察組織、自分の利益や立場しか考えない身勝手な人々、そんな大人を舐めきった甘やかされ放題の少年少女。日本版にあった情けや哀れみの介在する余地すらない殺伐とした世界は、日本と韓国の社会的背景の違いにも起因するのだろう。
だが、それだけに一人娘を殺された平凡な父親、法律や社会の偽善に不満を抱くはぐれ者刑事(日本版とは刑事のキャラ設定が異なる)、それぞれのやるせない無力感と怒りが見事に際立つ。
誰もが己の感情をむき出しにして突っ走る。それもまた日韓の国民性の違いだろうが、少年法の問題だけにとどまらない批判精神や壮絶な暴力描写を含め、社会派復讐劇としての説得力は抜群だ。
この短評にはネタバレを含んでいます