オオカミは嘘をつく (2013):映画短評
オオカミは嘘をつく (2013)パレスチナ問題を理解する上でも必見の犯罪サスペンス
幼い少女を狙った連続猟奇殺人事件を巡る、容疑者VS刑事VS被害者家族の仁義なきバトルを描くイスラエル映画。
のっけから容疑者に集団で殴る蹴るの暴行を加えて自白を強要する警察にも呆れるが、それ以上に無実を訴える容疑者を拉致監禁して拷問する被害者の父親のイカレっぷりがまた衝撃的。疑わしきは罰せよの論理に思わず背筋が凍る。
監督コンビによれば、物語の根底にはイスラエル社会特有のメンタリティがあるという。虐げられ続けた民族の歴史、テロの恐怖と隣り合わせの日常。そうした強烈な被害者意識と社会不安が国家の暴力を正当化し、憎悪の連鎖を生み出す。パレスチナ問題の一端を理解する上でも必見の作品と言えよう。
この短評にはネタバレを含んでいます