ITECHO 凍蝶圖鑑 (2014):映画短評
ITECHO 凍蝶圖鑑 (2014)異端的であり、普遍的であり
登場する人々の多くが知的で、思索の深い傑物という印象。関西、そしてパリにおける性的マイノリティと呼ばれる“異端者”たちを捉えたドキュメンタリー。なかなか聞けない話を聞けるだけでも貴重だが、特殊性を真摯に見つめることで、むしろ広汎な普遍性が浮かび上がることに注目したい。
性的嗜好を哲学することは、社会のコードと自由、ヒューマニティ、さらにアートの機能にまつわる問いを押し進める作業に連結するのがよくわかる。「生き難さ」からの解放という主題は一般にも共有されるもので、現代人の問題意識を煮詰めた特濃図鑑とも言えるはず。全身タイツ愛好者たちを描いた橋口亮輔監督作『ゼンタイ』の源流もここにあるのだろう。
この短評にはネタバレを含んでいます