秘密 THE TOP SECRET (2016):映画短評
秘密 THE TOP SECRET (2016)ライター2人の平均評価: 3
サイコパス美少女・織田梨沙の得体の知れない怖さは出色
死者の脳をスキャンすることで記憶を映像化し、難事件の捜査に役立てるべく立ち上げられた警察庁の特殊捜査チームが、完全犯罪を目論む狂気のサイコパス美少女と対峙する。
全体的に海外ドラマのパイロット版的な印象は否めないものの、目に映るものが個人の感情を通して記憶に変換されるという脳内の主観映像など、ロジカルで手の込んだハイテク描写は、日本映画らしからぬリアリティがあって興味深い。
なによりも強烈なのは、サイコパス美少女を演じる織田梨沙の不気味なまでに肝の据わった存在感。この得体の知れない怖さは出色だ。そんな彼女に振り回される捜査官の焦りと苛立ちを体現する岡田将生の大熱演にも牽引力がある。
目に映る形と色で物語を描く
オープニング、脳のシナプスの明滅と、街の夜景の電飾の明滅が重なっていく、という映像のコンセプトが、物語とシンクロする。脳に残された記憶をスキャンする巨大な装置のデザインは、リアルさよりもSF的感覚を優先したもの。そしてエンディングの、この装置を使ったある映像をスクリーンに映し出すというアイデアが効果的。この3点だけでも、この映画がビジュアル表現によって物語を描こうとしていることが分かる。
"人間ではなく脳を捜査する"という設定は理系のクールさだが、物語は逆に熱く感情優先。登場人物それぞれがもっとも隠したい"秘密"とは何なのか、なぜ隠したいのかを描く。その冷たさと熱さの対比も効果的。