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追憶の森 (2015):映画短評

追憶の森 (2015)

2016年4月29日公開 110分

追憶の森
(C) 2015 Grand Experiment, LLC.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 2.7

中山 治美

樹海のイメージが変わるかも

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

 日本人にとってはオドロオドロしい印象の強い青木ヶ原の樹海をホラーではなく、心の再生の場として描いているのは新鮮。恐らく渡辺謙が参加している事が大きいのではないか。自殺大国の上に度重なる震災と、近年我々は多くの死を目にしてきた。せめて映画で残された人の気持ちに寄り添うことは出来ないか。そんな思いを製作陣に伝えたのでは?と、勝手に憶測。実際、樹海を彷徨う米国人と同様の体験をした人には、非常に琴線に触れる作品となるだろう。
 ただ米国人が樹海に辿り着くまでの夫婦の物語がありがちで、何度もガス・ヴァンだよね?と確認したくなった。樹海での、舞台劇のようなマシューと渡辺の掛け合いが魅力的なだけに惜しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

まるで監督自身が樹海をさまよっているみたいです

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 死に場所を求めて富士の樹海へやって来たアメリカ人男性が、たまたま行き逢った日本人のサラリーマンと共に出口を求めてさまよう過程で、最愛の妻を失った悲しみと向き合うことになる。
 喪失感を抱えた人間が極限状態に置かれることで、かえって生きる意味と希望を悟っていくというのはよくある設定。本作はそこに富士の樹海の持つ神秘性を加味しているわけだが、残念ながらあざというという印象しか残らない。
 渡辺謙ふんする日本人の残した言葉の意味が解き明かされる結末を含め、これじゃあまるでM・ナイト・シャマラン作品の出来の悪い模倣。ガス・ヴァン・サント監督自身が樹海をさまよっているかのようだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

富士のアメリカ人

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

去年、コンペに出品されたカンヌで集中砲火を受け、全米公開はまだだが、アメリカのWスコアを記録する自殺大国で生きる日本人の評価は異なるだろう。とにかく、青木ヶ原樹海で出会うマシュー・マコノヒーと渡辺謙の掛け合いがスリリング。『巴里のアメリカ人』でも使われたガーシュウィンの「天国への階段」をキーワードにするあたりも巧く、ガス・ヴァン・サント監督作としても『永遠の僕たち』の姉妹編的仕上がりだ。とはいえ、気になるのは脚本にクレジットされた『[リミット]』『ATM』のクリス・スパーリング。当初はサスペンス・ホラー色が強かったと思われるだけに、ほかの監督なら、どう調理したか?という興味は膨らむ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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