無頼漢 渇いた罪 (2015):映画短評
無頼漢 渇いた罪 (2015)社会のつまはじき者たちへ捧げる韓国産ノワール
ある殺人犯を追うはみ出し者の刑事が、犯人の恋人である場末のバーのマダムに接近し、やがて2人は奇妙な愛情で結ばれていく。
監督によれば、タイトルの無頼漢とは一匹狼のことだという。大企業重役の元愛人で借金まみれの女盛りを過ぎたマダムと、汚職のまかり通る警察組織の暗黙のルールに背を向けた刑事。周囲の理不尽な圧力に激しく抵抗し、必死に己の尊厳を守ろうとしてきた2人が惹かれあう姿は切なく痛々しい。
今もなお、弱者への差別や少数派への偏見が露骨で根深いと言われる韓国社会。そんな日陰者たちの孤独や怒り、そして哀しみが、暗く荒んだ世界で静かにざわめく。フィルムノワール的な洗練された映像美も見ごたえアリ。
この短評にはネタバレを含んでいます