薩チャン 正ちゃん~戦後民主的独立プロ奮闘記~ (2015):映画短評
薩チャン 正ちゃん~戦後民主的独立プロ奮闘記~ (2015)これもまた「戦後70年」の重要な一本。
メインは山本薩夫と今井正。東宝争議/レッドパージを発端とし、伊ネオレアリズモの影響等も含めて名匠たちが独立系の設立に向かった経緯が語られる。まさにメジャーとインディペンデントが液状化した現在の日本映画につながる状況の始まりだ。それだけにシリアスな力作群が50年代に連発された事は「黒澤・小津・溝口」だけではない今再考されるべき映画史のワンシーンだろう。
新藤兼人が『裸の島』で突破口を開いたエピソードなど改めて胸を打たれる。ここには海外も視野に含めた「貧者の映画」の闘い方のロールモデルがある。理想に燃える映画人=表現者たちの姿には、若い世代のほうが刺激を受けると思う。
この短評にはネタバレを含んでいます