Dressing Up ドレッシングアップ (2012):映画短評
Dressing Up ドレッシングアップ (2012)えらいもんを観た!
問題意識は呉美保監督『きみはいい子』に近いと思う。学校や家庭の不和、負の連鎖からの回復など。ただしコチラは闇の表現がサイコホラーに伸びていくのだ。いわゆる人間ドラマにホラー演出が接ぎ木される点で、黒沢清あるいはクローネンバーグ的と言うべきか。
祷キララ(独特で、いい顔)演じる思春期女子の潔癖さが、世間に渦巻く悪意や欺瞞、ノイズを切り裂く。ある種彼女はヒーロー的存在になっていいのに、馴れ合いの同調圧力の中ではモンスター扱いされ、自意識も軋む。この視座は「中二病」への的確な批評だ。
取扱い注意の怪傑作を生んだ監督は86年生まれの安川有果。世界中のファンタに出品希望!
この短評にはネタバレを含んでいます