ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏 (2015):映画短評
ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏 (2015)美女に刺あり、そして美しい舞台の裏には陰謀が渦巻く!?
山岸凉子先生の漫画でバレエの華麗にしてハードボイルドな世界に「ほほぅ」と恐れ入ってたが、本物はもっとドロドロ!? 芸術監督襲撃事件をきっかけに噴出したボリショイ・バレエ団の膿に焦点を当て、ロシアという国のあり方や国民性に言及した監督の意図は納得できる。被害者を被害者たらしめた権力欲や職権乱用にも着目したフラットな視線もいい。ただ欲を言うと、もっと事件の背景を明らかにしてほしかった。被害者と襲撃首謀者の関係に触れただけでは、事件の全貌がつかめないのが歯がゆい。群舞ダンサーに「セックスの話は止しましょう」と言わせたが、権力者への性接待疑惑などのスキャンダルにもがつがつ迫ってほしかった。
この短評にはネタバレを含んでいます