すれ違いのダイアリーズ (2014):映画短評
すれ違いのダイアリーズ (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
目の前の人と向き合う、その大切さがシミる好編
電話もネットも通じない田舎の小学校という舞台設定が、まずいい。そこに生きる者は目の前の人間と真剣に向き合うことを余儀なくされるから。
いい加減なた新任男性教師は四苦八苦しながら生徒たちと向き合う。真剣さは前任の女性教師が残した日記を読み、ここでの暮らしを学ぶことに反映され、結果的に未だ向き合えない彼女に心惹かれる。ロマンチックだがムードに酔わず、スジを通したつくり。
役者はいずれも印象的だが、やはり子役たちの演技が際立つ。スマホやPCなどの回路を通じた流も悪くはないが、まっすぐな彼らの瞳にふれると、まず目の前にいる誰かとつながる、その大切さにハッとさせられる。あったかい良作。
SNS世代には斬新なノスタルジックな恋物語
監督の代表作『フェーンチャン ぼくの恋人』のキャラ描写は明らかに「ドラえもん」だったが、本作ではあだち充のコミックを意識したように、ジャパニーズカルチャーとの関係を探りながら観ると、なかなか感慨深い。とはいえ、アナログなツールを通じ、会ったことのない男女の距離が縮まる設定は『Love Letter』というより『イルマーレ』。全盛期の月9ドラマ顔負けのすれ違い描写の連続は、やや時代錯誤的にも感じるが、それもまた一興。また、『愛しのゴースト』ではドン引きしたタイ特有のベタな笑いも、活き活きした子役たちのおかげで、あまり気にならない。とにかく日常の喧騒を忘れ、ノスタルジックな雰囲気に浸りたい人向け。