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パディントン (2014):映画短評

パディントン (2014)

2016年1月15日公開 95分

パディントン
(C) 2014 STUDIOCANAL S.A. TF1 FILMS PRODUCTION S.A.S Paddington Bear TM, Paddington TM AND PB TM are trademarks of Paddington and Company Limited

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

ミルクマン斉藤

声はベン・ウィショー、いい意味で彼っぽくなく器用!

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

宗主国への憧れを保ち続けた未開の植民地の末裔が震災難民となり、その憧れの地へボートピープルとしてやってくる。しかし帝国主義の亡霊は博物学の衣をかぶって今も生きていて……と、裏テーマとも言い難いくらいに意図するところはあからさま。寓意性はもちろん、美術や衣裳やカラーデザイン、そしてアクション・シーンの演出もウェス・アンダースン…とりわけ『ファンタスティック Mr.FOX』あたりの影響が濃厚だ。しかしイマイチ楽しくないのは作風が真面目すぎてナンセンス度が薄いから。『キャット・バルー』的、というより『ライフ・アクアティック』的な狂言回しをつとめるカリプソ・バンドは実にいい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

パディントンが可愛い!以上!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 イギリスの国民的な童話キャラ、くまのパディントンをCGで甦らせた長編実写映画。まるでドールハウスの世界から抜け出てきたようなロンドンの街並み、『インディ・ジョーンズ』から『ミッション・インポッシブル』まで様々なパロディを織り込んだユーモアなど、じつに賑やかで楽しい作品に仕上がっている。
 一方で、実験台にしようと狙うマッドサイエンティストに追い掛け回されたり、ドジを踏んであらぬ誤解を受けたりするストーリー展開は超ありがち。その点はさすがにお子様向けか…とも思うが、リアルなクマ感が意外にもマッチしたパディントンの可愛さでチャラ。筆者もついついロンドンでぬいぐるみ買ってきちゃいました。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

ニコ様の捨て身のギャグに目頭熱く

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

 同じ熊が主人公でも『テッド』が際どいネタで笑いを取るのに対し、こちらは皮肉炸裂の英国流ブラックユーモアで勝負。究極が、珍種の熊を狙う謎の美女ニコ様の”ミッション・インポッシブル”シーン。トム造との離婚から15年。憎悪も大人の事情も時が洗い流したのか。はたまたヤケか。いずれいしても笑いに昇華出来るまでに達したニコ様にさらなる飛躍を期待せずにはいられない。もともと『誘う女』しかり悪役を得意とする女優。だが本作で家族の結束を促すのも、その家族への共感を呼ぶのも、ニコ様の魅力的な敵役あってこそだ。
 日本人的には、アキ・カウリスマキ監督『ル・アーヴルの靴みがき』に匹敵する「桜」の使い方に感動倍増。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

ベン・ウィショーの吹替えによって、淋しげなクマは生命感を得た

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 野性的だけど紳士的なクマ。出自や命名・服装の秘密が分かるだけじゃない。孤独と不安に苛まれながらも人のぬくもりを信じ、山奥からロンドンにやってきた“よそ者”パディントンが、障壁を乗り越え家族に溶け込む物語だ。ロンドンの色彩設計が素晴らしい。謎の悪女ニコール・キッドマンのトム・クルーズ パロディが可笑しい。そして当初起用していたコリン・ファースの声では違うと感じ、途中降板させてまで、英国男子ベン・ウィショーの声に懸けた監督の判断は正解だ。古い蓄音機で英語を勉強したパディントンの古風な発音を絶妙に表現するウィショーによって、礼儀正しくチャーミングで淋しげなクマは、ぬいぐるみを超える生命感を得た。

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くれい響

子供騙しとナメてかかると、ヤケドします。

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

本国イギリスでの公開から1年以上、ある意味『エピソード4』並に待ちに待った日本公開。パディトンの造形がリアル過ぎて引くとか、ドジッ子が巻き起こすスラップスティックな笑いは「Mr.ビーン」とあまり変わらないとか、確かにツッコミどころはある。だが、ウェス・アンダーソンの影響を確実に受けながらも、子供たちを飽きさせないことを第一に、ライオネル・リッチーなど、大人向けなギャグや仕掛けをたっぷり用意し、ハイテンションなファミリームービーを作り上げたポール・キング監督の手腕は見事。極めつけは、イーサン・ハント完コピに挑むほどのノリノリで悪女を演じるニコール・キッドマン。これなら続編も期待大です。

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山縣みどり

キモい外見に惑わされないで! 心温まる映画です。

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

映画スチールを見て、「こんなのパディントンじゃねえ」と思った人多数。#キモいパディントン。ごめん、私が間違っていました。実写版パディントンは動いてしゃべると実にキュート。異国ロンドンで人々に邪険にされながらも礼儀正しく前向きを貫く彼を見るだけでもほっこり。実はかなりのドジっ子なんだけど、ダメさすらも許せてしまうのは人(熊?)格ゆえか。声だけでパディントンのイノセンスを表現したベン・ウィショーの実力、恐れ入った! パディントンと絆を培うブラウン一家のファンキーさ、悪女を演じたニコール・キッドマンの怪演、テクニカラーっぽい色調や凝ったディテールの映像美とどれを取っても秀逸な作品。

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平沢 薫

暖かな色彩と小物が楽しい英国製おもちゃ箱

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 このロンドンは、暖かな色の良質な玩具だけ集めた英国製のおもちゃ箱。例えば骨董品店や自然史博物館、ドールハウス、鉄道模型、そういうものが好きなら絶対気に入る。英国好きなら、さらにうっとりするはず。
 撮影とプロダクション・デザインは、英国ウェールズの小さな町を舞台に15歳の少年の毎日を描く「サブマリン」のコンビ。ちなみに本作で一家の母親を演じるサリー・ホーキンスは、この映画でも少年の母親を演じていた。さらにアート・ディレクションには「ハリー・ポッター」や「シャーロック」に参加した5名が参加。主人公のクマのぬいぐるみの声をQことベン・ウィショーが演じているのも、英国男優好きにはポイント高い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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