太陽を撃て (2015):映画短評
太陽を撃て (2015)韓国人のアメリカに対する複雑な感情が浮かび上がる
韓国を脱出してロスへ渡ったものの、ありついた仕事はコリアン・マフィアの雑用。そんなワケあり青年が、ボスの愛人に手を出したせいで転落の道をたどる。
異国の地でも底辺から逃れられない若者たち。実際、近年のロスは韓国系住民の急増でコリアンタウンも盛況だが、その一方で彼らはアジア系の中でも特に貧困率が高い。そんな暗い現実が背景に重くのしかかる。
全編アメリカでのロケ、低予算のビデオ撮影、気だるいジャズにノワールなムードと、バブル期のVシネ的な臭さが当初は鼻につく。しかし、ボスがベトナム帰還兵という設定も含め、韓国人の米国に対する複雑な感情をハードボイルドの文脈で捉えた展開は面白い。
この短評にはネタバレを含んでいます