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ボーダーライン (2015):映画短評

ボーダーライン (2015)

2016年4月9日公開 121分

ボーダーライン
(C) 2015 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. Richard Foreman Jr. SMPSP

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

山縣みどり

メキシコ国境に壁建てる案が高支持率なのも納得

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

アメリカにとって、メキシコの麻薬カルテル撲滅も現在進行中の戦争のひとつ。利権や人間関係、貧困や欲が絡み合った複雑な事情に光を当てた作品だが、ヒロインが場違いすぎ。無法に無法で対抗する上司やベニシオ・デル・トロ扮する謎の男に憤り、法律の下で犯罪を裁こうと頑張る姿勢には確かに頭は下がる。とはいえ、彼女がふりかざす甘っちょろい正義が非現実的というか、ハリウッド的というか…。グレーゾーンとなる戦いに葛藤するヒロンに共感するか、マヌケと感じるかで映画そのものの見方も変わるはず。根が深い問題だし、トランプ候補が主張する壁建築が効果的とは思わないが、彼の案が高支持率なのも納得の事情がわかる意欲作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

メキシコ麻薬戦争の闇に真正面から挑んだ力作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 メキシコ麻薬カルテルを壊滅するための特殊部隊に選抜されたFBI女性捜査官が、国境地帯の町で衝撃的な現実を目の当たりにする。
 アメリカにとってテロとの戦い以上に深刻で、しかも身近な脅威であるメキシコ麻薬戦争。その原因の裏に米国政府やCIAの思惑が絡むことをほのめかしつつ、しかしもはや犯人探しなど意味がないほど泥沼化した現場を徹底したリアリズムで描く。
 白昼堂々と街中に惨殺死体が幾つも吊り下げられた国境地帯の惨状、あらゆるところにスパイ網を張り巡らせたカルテルの不気味な恐ろしさ。とはいえ、あくまでもフィクションなので、近日公開のドキュメンタリー「カルテル・ランド」の絶望的な恐怖には敵わない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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