禁じられた歌声 (2014):映画短評
禁じられた歌声 (2014)イスラム過激派に支配された町の不条理
西アフリカのマリ共和国を舞台に、イスラム過激派によって支配された古都ティンブクトゥの日常を、原住民の幼い少女の目を通して見つめていく。
歌うことも愛することも楽しむことも禁じられてしまった町で、抑圧に耐えながらもささやかな抵抗を試みていく人々。過激派組織の兵士たちの取締もかなり大雑把だ。そんな支配側と被支配側のイタチごっこみたいな駆け引きが、時としてユーモアも交えながら描かれる。
かといって、イスラム過激派に同情的だというわけではない。コーランの中身はおろか組織の大義名分すらろくに理解していない彼らが、流されるまま上層部の指示に盲従していく現実に、問題の根深さが垣間見えるのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます