真田十勇士 (2016):映画短評
真田十勇士 (2016)ライター2人の平均評価: 3
オープニングはやはり、実写で撮るべきだった…
公開ギリギリまでCG処理をしていた、大坂冬の陣、夏の陣。確かにスケール感はあるが、すべてはここに集約されてしまったような気がする。とにかく肝となるはずの十勇士の人物描写など、ドラマパートがしっかり描かれていない。感情移入できなく、戦地で命を落とし、『仁義なき戦い』風にテロップが出ようが、胸に迫るものがない。そう考えると、挑戦的で悪くないと思ったオープニングのアニメは、やはり実写で撮るべきだったと思ってしまう。“動ける”はずの大島優子も生かせず仕舞い。とにかく“通常の”堤幸彦作品同様、薄っぺらさが目立ってしょうがない。そんななか、昨今の松坂桃季のカメレオン俳優っぷりは面白いので、★おまけ。
舞台/アニメ/実写の境界をピョンと飛び越えようとする
アニメ/舞台/実写、という枠組みを超えようとする試みが指摘的。舞台劇の映画化だが、映画冒頭の登場人物紹介部分がアニメになっていて、それから実写に変わるので、人物たちの個性は、俳優の演技以前に、アニメによって決定されるのだ。その手法は、2次元でも3次元でもない2.5次元という概念を、映画に活用する試みにも見えてくる。そういえば、真田十勇士を生み出した"講談"は、歴史上のキャラクターを使って史実と虚構を混合した二次創作ともいえるのか。講談と2.5次元は近いところにあるのかも。ちなみに、映画のエンドクレジットに表示されるコミックが、作品全体のノリをグイッと急カーブで上向きにするので、そちらも必見。