さざなみ (2015):映画短評
さざなみ (2015)あるがままカメラの前に立つ。あぁ、美しきランブリング様
S・ランブリングが仏映画『スイミング・ブール』に出演した時、フランソワ・オゾン監督に起用理由を聞いたことがある。「今は顔をいじっている女優ばかり。彼女にはナチュラルな美しさがある」と。
少しでも若さをキープしようとボトックス注射、いわゆるプチ整形する女優が多いが、確実に表情筋が硬くなる。だが本作の彼女を見よ! 長年連れ添った夫の心の中に、ずっと別の女性がいたことの衝撃、嫉妬、怒り。その感情を言葉ではなく目で、表情で語るランブリングの巧みさを。年齢と経験、そして顔に刻み込まれたシワがなければ、演じることが出来ない役があることを彼女は知っている。ランブリングに魅せられ、見入ってしまう95分。
この短評にはネタバレを含んでいます