ロブスター (2015):映画短評
ロブスター (2015)ライター2人の平均評価: 4
不条理な風刺劇に今の日本も透けて見える!?
結婚しない人間は不要(同性婚はOK)とされ、罰として動物に変えられてしまう近未来。そんな社会システムに抵抗してレジスタンス組織へ加わる主人公だが、こちらでは反対に恋愛やカップルが厳罰の対象だった。
一見すると不条理で難解なストーリーを紐解く鍵は“ルール”。どこの社会や組織にも法律や常識という名のルールが存在し、それによって集合体の秩序が守られる。だが、もしそのルールが個人の自由意思の領域にまで適用されたら…?という不安を、まるで冗談のような設定で描いた風刺劇だと言えよう。
とはいえ、不倫という個人の問題に社会的制裁が加えられてしまう昨今の日本を見ると、冗談では済まされないようにも思える。
期限アリ、罰ゲームアリの「テラスハウス」
一言で言うと、「テラスハウス」×『ムカデ人間』×『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』な映画。もはや何でもアリなヨルゴス・ランティモス監督の最新作だが、そこに女レジスタンスがどハマりなレア・セドゥと、鼻血キャラに転向するベン・ウィショーの『スペクター』コンビ(+ダニエル・クレイグの奥方)などを集める、タランティーノに近いやりたい放題っぷり。『籠の中の乙女』のように密室劇が巧い監督だけに、森が舞台の後半にかけての失速感は否めないが、十分トリップさせてくれる。『籠の中~』では姉妹の奇妙なダンスが脳裏に残ったが、今回はホテル従業員による「…だからカップルになりましょう」な猿芝居がしっかり残ります。