WE ARE YOUR FRIENDS ウィー・アー・ユア・フレンズ (2015):映画短評
WE ARE YOUR FRIENDS ウィー・アー・ユア・フレンズ (2015)ライター3人の平均評価: 3.3
ザック・エフロン、今度もいい仕事してます。
あまりにベタなタイトルにも表れてるが、EDMのDJがてっぺん目指す話なのに、ときどき「マジメか?」と突っ込みたくなるほど、直球の青春映画に仕上がっているのに驚き(ただ、恩師のカノジョを寝取りはする)。パーティやフェスでのプレイだけでなく、“最高の一曲”を生むため、PCを使った楽曲制作やレコーディング風景など、クリエイターとしての裏側も描くあたりも、新人監督の誠実さが伝わる。世間一般に言われる「BPM128最強説」を心理学的にも解説するシーンはサイコーだし、キャラの性格はどうあれ、『ゴーン・ガール』でベンアフの愛人だったエミリー・ラコウスキーの尋常じゃない美しさも見どころだ。
見終わってもDJがモテる根拠がわからないんだよな〜
仲間とともにクラブに集まるギャルをコマすのが楽しいDJコールが高みに上り詰める展開は王道だが、物語を構成するエピソードが消化不良だ。人気に溺れた大物DJリードがコールの音楽愛にインスパイアされて良きライバルとなるのかと思えば違うし、おバカな友人たちの進歩も無い。コールとリードの間で揺れるヒロインも尻軽にしか思えず…。ドラッグ使用中のコールのPOVをアニメにしたのも月並み。EDMってどれも似たように聞こえるので若者の熱狂に逆に醒める。とはいえEDMやクラブシーンがたまらなく好きな人には共感度の高い作品だろう。カルヴィン・ハリスとかディプロとかDJがモテるのは知ってるけど、理由はいまだに謎のまま。
こりゃ王道だ!
出るべくして出た青春映画。背景となる時代ごとの音楽ジャンルでいえば、EDMこそ今のメインストリームな“青春のサウンドトラック”だろう。本作には特定の時代やシーンを懐古する際の屈折がなく、“光と影”の打ち出し方がひたすらまっすぐだ。
ハリウッドから近くて遠いL.A.バレー地区という“郊外”の場所設定が、まずいい。そこには自己実現の途中であがく仲間達がいて、人生の指針まで与えてくれる「師」が現れ、甘酸っぱくもややこしい恋愛があり、時には静かに海を見る。「流行りのビジネスは色々あるが、DJは“最高の一曲”があればいい」とは劇中の台詞だが、監督が目指したのも新しいアンセム(定番)となる一本のはずだ。