冬冬(トントン)の夏休み (1984):映画短評
冬冬(トントン)の夏休み (1984)デジタル・リマスターで鮮やかに蘇る台湾の美しき田園風景
言わずと知れた侯孝賢監督の名作が、およそ26年ぶりにリバイバル公開。しかも、デジタル・リマスター版での上映である。鮮やかな木々の緑、色とりどりの花々。かくも色彩豊かな映画だったのかと改めて目を奪われる。デジタル修復だからこその恩恵だ。
初公開時、最も印象的だったのは古き良き日本の田舎そのものと言うべき、’84年当時の台湾ののどかな田園風景だが、昭和の時代が遥かに遠くとなった今、その郷愁感はなお一層のこと胸に迫り、懐かしさと切なさと幸福感に満たされる。
そして、ひと夏の田舎生活で大人の世界を垣間見る少年・冬冬の姿に、過ぎ去りし思春期の我が身を重ねて思わずキュンとする。何度見ても飽きない。
この短評にはネタバレを含んでいます