シチズンフォー スノーデンの暴露 (2014):映画短評
シチズンフォー スノーデンの暴露 (2014)ライター2人の平均評価: 4.5
日本公開までの時差が恨めしい
2014年製作で、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞が2015年。世間がざわついている同時期に見たら興奮倍増だっただろう。
それでもスクープ現場の緊迫感は十分。そして計らずも、スノーデンが告発した国家による諜報活動の証拠を捉えてしまった。
最初の記事に彼の名前はなかったものの、徐々に包囲網が張られ、恋人にまで危険が迫る。それだけの情報収集が瞬時に出来るのならば、なぜテロを未然に防げないか謎ではあるが。
劇中、スノーデンは「個人に焦点を当てるべきではない」と語る。プライバシーの侵害、メディアへの圧力など国家権力の横暴はいずこも同じ。スノーデンの命がけの告発の真意を知るべし。
歴史的な大事件を共犯者として目撃した画期的ドキュメンタリー
かのスノーデン事件を題材にしたドキュメンタリーなのだが、特筆すべきは内部告発の行われる以前から取材が行われていたという事実。要するに、歴史的大事件の共犯者および目撃者として、その一部始終を現場でカメラに収めているのである。ある意味、本作自体が映画史における事件だ。
内容的には既知の情報が大半だが、しかしリアルタイムだからこその緊張感、作り手の先が読めない疑心暗鬼が如実に伝わる点は、本作ならではの醍醐味だろう。
また、自宅の盗聴や監視、外出時の尾行などは当たり前の旧ソ連で育った筆者にとって、本作の作り手や世間の反応が興味深くもある。冷戦時代から少なからず世界中で行われてきたはずだから。