ヒマラヤ ~地上8,000メートルの絆~ (2015):映画短評
ヒマラヤ ~地上8,000メートルの絆~ (2015)ライター2人の平均評価: 4
こんな山男がいたらホレてまうやろ〜。
山男にロマンを感じる人は少なくないと思うが、山に登って下りるという単純な行為にチャレンジ魂や友情が加わることである種の崇高さが生まれるのだろう。ファン・ジョンミン演じる登山家と仲間も同様で、悪天候や高山病と戦いながら目的に向かって突き進むガッツと絆で見る者を感動させる。過去に多くの登山家が遭難したエベレストには遺体がいっぱいだと聞いたことがある。肉体を限界まで酷使する状況なので仲間の遺体であっても置き去りにしなければならないのだ。暗黙のルールに挑んで愛する仲間の遺体を引き取りにいった山岳家がいたことをこの映画で初めて知り、心底驚いた。No Man Left Behind精神ここに極まれり!
自然への挑戦以上に、同胞愛にかける精神力
アーノルド・ファンクの古典『聖山』『死の銀嶺』から最近の『エベレスト3D』まで、山岳映画は古今東西膨大な数があるが、なんと韓国ではコレが初の本格的な同ジャンル作だという。特異なのは精神主義の濃厚さだ。記録の更新等はあくまで途中経過で、仲間たちの遺体を回収して、ちゃんと弔う――という愛の作業としての決死の登山がクライマックスとなるのだ。
コミカルな群像劇の前半、リアル志向のスペクタクルで魅せる後半という構成は、『パイレーツ』など喜劇性と活劇性を巧く絡めるイ・ソクフン監督の持ち味が明快に活きたものだ。それでも“兄貴”オム・ホンギル(ファン・ジョンミン)の情念こそが強い余韻を決定的に残す。