死霊館 エンフィールド事件 (2016):映画短評
死霊館 エンフィールド事件 (2016)ライター4人の平均評価: 3.8
怖いだけではなく、ドラマの良き浪花節も魅力!
ホラーで2時間強の作品など、そうそうないが、今をときめくジェームズ・ワン監督作で、大ヒット作の続編となれば必然か。実話に基づきつつ、この長尺に見合う内容なのだから驚いた。
ロンドンの長屋的住宅の無機質なたたずまいを再現しつつ心霊現象を活写。ごく普通の一家が被害に遭う前作のタッチを踏襲しつつも、前作で活躍した心霊探偵ウォーレン夫妻と被害者一家との交流はより密となり、その共闘はエモーショナルに彩られる。
恐怖以前に人間ドラマがあるからこその長尺。『ワイルド・スピード SKY MISSION』の演出経験が効いたのかどうかは知らないが、ワン監督の良い意味での浪花節演出が活きた。
この夏、マジで怖いホラー映画を見たければ絶対にこれ!
実在の心霊研究家ウォーレン夫妻のオカルト事件簿を映画化したシリーズ第2弾は、ロンドンの住宅街で実際に起きたポルターガイスト騒動を描く。
壊れかけた被害者家族の心の隙間を狙って悪霊がとり憑く、という設定は前作と同様だが、今回はそこに愛する家族を危険に晒してまで他者を助ける必要があるのか?というウォーレン夫妻自身の疑念や不安が映し出される。登場人物に感情移入できてこそ、恐怖も一層のこと盛り上がるというわけだ。
コケおどし的なショックシーンや、巧妙などんでん返しのスリル溢れる演出も見事。心霊現象というテーマに対する姿勢も極めて真剣だ。改めてジェイムズ・ワン監督の力量を思い知らされる。
監督自身がこの世界を信じている
1970代に活躍した実在の超常現象研究家夫妻を主人公に、実際に起きた出来事を記録通りに映像化する、というのがこのシリーズのコンセプト。映画的アレンジはあるが、エンドクレジットには、事件の記録写真と映画のシーンが並べて掲載され、本作がいかに記録を忠実に再現しているかを見せつける。
ホラー映画というジャンルで、"発見された映像"ものやSNSものなど、生活の変化に沿った新たな手法が次々に登場する中、ジェームズ・ワン監督があくまでも伝統的な手法を用いる理由は、彼のこの言葉にあるのだろう、「僕はこの夫妻とこの世界を信じている」。事件は前作とは別の独立したものだが、夫妻の関係性はより深く描かれている。
元気いっぱいのポルターガイスト
名作『ワイルド・スピード SKY MISSION』を経て、ジェームズ・ワンはますます絶好調。わりと優等生的だった前の『死霊館』に比べ、今回はえらくド派手でパワフル。実在のオカルト系研究家・ウォーレン夫妻はもはや作中人物としてキャラ立ちしており、名探偵ならぬ“名ハンター再登場”にワクワク!
いきなり“77年ロンドン”にクラッシュの「ロンドン・コーリング」(79年)が高らかに鳴り響いたのにはずっこけたが(続いてホリーズの「バス・ストップ」って、ノリだけかよ!)、そのざっくりしたナタ捌きが大ぶりの魅力に転じている。『悪魔の棲む家』以上に『ポルターガイスト』のハイパー版といった趣の活劇度の高さ!