若葉のころ (2015):映画短評
若葉のころ (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
すべてはエンドロールに集約されている
五月天など、ドラマティックなPVを数多く手掛けてきた映像作家の映画デビュー作だが、良くも悪くもその印象は拭い切れない。母子二世代の恋愛をシンクロさせ、同じ女優が二役を演じるクァク・ジェヨン監督の『ラブストーリー』を意識した作風。ルゥルゥ・チェンの好演は認めるが、演出力が未熟なせいか、やたらテンポが悪く、叙情的いうよりダルダル感が強い。とはいえ、レコードやシャツが宙を舞うなど、突然挿入されるエモ描写は、さすがの一言。『クーリンチェ少年殺人事件』を狙ったカットも愛らしいが、リッチー・レンと少年時代を演じた俳優のルックスがあまりに違いすぎて、興醒め。よって、『あの頃、君を追いかけた』に遠く及ばず。
時代を超えた“初恋あるある”に胸キュンキュン
昏睡状態の母親が書いていた初恋の男性宛のメールを娘が見たことで、母娘の初恋をシンクロさせる構成がとてもいい。特に共感したのが80年代の母の初恋で、男女席を同じうせず時代のティーン特有の初心すぎる恋愛衝動が汚れちまった大人な私には懐かしいやら、気恥ずかしいやら。好きな女の子が乗る自転車を無言で追いかける高校生の瞳の熱さにはこちらの頬が火照った! セピアがかった映像もセンス良く、懐かしい。一方、娘の恋はまさに今どきで、親友に好意を持つイケメン高校生を略奪しようと目論む少女が登場したり、少年の服をラブホの窓から放り出したり。恋は人を衝動的にさせますな〜、と時代を超えた初恋あるあるに胸が弾んだ。