続・深夜食堂 (2016):映画短評
続・深夜食堂 (2016)ライター2人の平均評価: 4
もはや、東映におけるポスト『トラック野郎』か?
「めしや」店内の雰囲気同様、エピソードを見逃そうが、いつでも温かく迎えてくれる。台湾、韓国の人々の心もつかみまくる人情喜劇は、すでに『男はつらいよ』の域に達しているかもしれない。前作は松岡錠司監督、5年ぶりの新作だっただけに、若干の気負いも感じられたが、佐藤浩市の『64‐ロクヨン‐』とのギャップや挙動不審になるマスターの姿など、今回は笑いの要素もマシマシ。いい感じで、手慣れた感全開だか、多部未華子演じる、みちるの“その後”をしっかり描いてくれるなど、“常連”への配慮も忘れない。あまりマスターが本筋に絡まないことも気にならないし、ネタが続くかぎり、「劇場版」も続けてほしいものだ。
世界観も、クオリティーも、ブレなし
原作モノとはいえ、2009年のTVシリーズから期待を裏切らない品質を保ち続けるのは、そう簡単なものではない。
それはひとえに作品を大切に思うスタッフの心意気に他ならないが、現状に甘んじない野心も見逃せない。
今回も、ほっこり良い話に見せかけて、老舗の後継者問題やオレオレ詐欺など世相を斬る。
それもマスターの人柄同様、声高に言うでもない大人な主張が粋。
そこが老若男女、いや、国籍を超えて人々を魅了するゆえんでもあるのだろう。
平行して前作でマスターに救われたみちる(多部未華子)の成長も描かれており、ファンの心をくすぐる。
それは同時に、シリーズの新たな広がりと可能性をも示しているように思うのだ。