歌声にのった少年 (2015):映画短評
歌声にのった少年 (2015)パレスチナの希望の星となった人気若手歌手の実話を描く感動作
明日の命も知れないパレスチナのガザ地区で、音楽だけを心の拠り所として暮らす少年が、やがて故郷を飛び出してアラブ語圏を代表するスーパースターとなる。人気若手歌手ムハマンド・アッサーフの実話を映画化した作品だ。
正式なビザを持たずに国境を越えてオーディション番組に挑む後半のサクセス・ストーリーもさる事ながら、紛争地帯の過酷な状況下で逞しく生きる子供たちの姿を描く前半の瑞々しさは感動的。本物のガザ地区でロケされたリアリズムは圧倒的だ。
主人公の幸せを願う家族の愛情、彼の成功に託されたガザ地区の人々の想いにも胸が熱くなる。そして全編を彩る音楽の素晴らしさ。アラブ歌謡最高!
この短評にはネタバレを含んでいます