イエスタデイ (2014):映画短評
イエスタデイ (2014)ライター2人の平均評価: 4
ビートルズに憧れた少年たちのノスタルジックなひと夏の経験
1967年のノルウェーを舞台に、ビートルズに憧れる男子高校生たちのひと夏を描いた、甘酸っぱくも瑞々しい青春映画である。
ビートルズという世界共通の社会現象をキーワードに、少年たちの成長と時代の変化を重ね合わせていく語り口が絶妙。夏が過ぎて秋となり、挫折や初恋を知って大人への階段をのぼり始めた主人公キムの姿が胸にグッとくる。
のどかで美しい’60年代のノルウェーを再現したノスタルジックなビジュアルも魅力だし、少年たちの結成したバンドが大して上達することなく終わってしまうほろ苦さもいい。恐らく、同じような夢と現実を味わったビートル少年たちが世界中にいたはずだ。
北欧童貞男子の『抱きしめたい』
「シー・ラヴズ・ユー」で開幕する本作はビートルズ関連の映画の中で史上最も微笑ましい一本かも。ノルウェーの男子高校生4人組が主人公で、リアルタイムでの影響の受け方が素朴で泣けるのだ。『サージェント・ペパーズ』のジャケを手にして急激な変化に驚くなど、情報伝達の速度も“当時の小国”ならでは。
『その男ゾルバ』を観るシーンで『グミチョコ』『桐島』的な童貞映画の黄金(基本)形が顕わとなり、女子好みの大人っぽい音楽としてレナード・コーエンが配される。思えばブリティッシュ・インヴェイジョンを扱っている点で第一次(60年代)版の『シング・ストリート』とも言えるのだった。音楽監督はa-haのM・フルホルメン!