ライト/オフ (2016):映画短評
ライト/オフ (2016)ライター4人の平均評価: 4
ダイアナの悲劇
人気ホラー・キャラになりそうなダイアナさんが、Jホラーの影響アリすぎなのは置いといて、十分に破綻もありえる展開のなかでのブレないルール! しかも、冒頭のマネキンからしっかり怖い! 自身の短編を長編にしたデヴィッド・F・サンドバーグ監督のツボを突いた演出には驚きだが、エリック・ハイセラー脚本という点に妙に納得。大味なパニック映画に見せかけて、気が気でない展開と親子のドラマを描いた『ハリケーンアワー』同様、今回も一発ネタのホラーに見せかけて、気が気でない展開と『エルム街』のナンシー入ったヒロインといわくつき母さん(激似のテリーサ・パーマーとマリア・ベロ)のドラマが、思わぬ拾いモノ感を増しマス。
闇と光、光と闇、その変化こそがキモっ、肝っ!
『ハロウィン』等を見てもわかるとおり、消灯シーンはホラー映画における怖がらせの常套手段として機能してきた。しかし、この手法に徹した映画は珍しい。
点灯時には見えなかった何かが、消灯時に影となって見える恐ろしさ。点灯~消灯の流れを絵的にしっかりおさえているから、その“瞬間”にゾクゾクさせられる。こういうトリック頼りの作品は途中で飽きることもままあるが、引き締めて描いた新鋭監督の工夫はお見事。センスの良さがうかがえる。
ドラマが描けている点も好感度大。コミュ障的ヒロインが、“責任のある大人になる”という闘争宣言にグッと来た。深い闇から光を目指す、毅然とした映画でもある。
暗闇が苦手な人にとっては悪夢のような81分!
現代最高のホラー・マスターであるジェイムズ・ワンだが、同時に新たな才能を見極める目もまた一流であることを証明するプロデュース作。
部屋の電気を消した瞬間に人影が見える。ドキッとして明かりをつけると誰もいない。見間違えかと思って消すたびに、人影がどんどん近づいてくる。暗所恐怖症の人とっては悪夢のような絶叫シーンの連続で、余計に明かりなしでは眠れなくなること必至だ。
しかも単なるこけ脅しではなく、外からは伺い知れない問題を抱えた家族の再生ドラマとしてしっかり成立させている点が秀逸。これが長編処女作のサンドバーグ監督は、呪いの人形アナベルの続編も手がけるとのことで、そちらも大いに期待したい。
この恐怖は日常の"ふとした感じ"から膨れ上がる
例えば電灯を消した瞬間、そこに生まれた暗がりの中に何かが見えたような気がして、また電灯をつけると、そこには何もない。例えばスマホの画像を眺めていて、ふと画面に何かが映り込んだような気がして振り向くと、そこには誰もいない。でも、それがもし気のせいではなかったらーーそんな日常的な感覚から始まる恐怖を描くショートフィルムの数々をウェブで公開しているデヴィッド・F・サンドバーグ監督が、ジェイムズ・ワン製作で長編映画に進出。長編でも短編同様、日常のふとした感覚から生まれる、生理的な感覚に訴える恐怖を味あわせてくれる。この監督は現在「アナベル 死霊館の人形」の続編を撮影中で、そちらも楽しみ。