チリの闘い (1975):映画短評
チリの闘い (1975)今まで未見だった事に本気であせった!
星10個級、確実に必見! 日本で小川プロが『三里塚』シリーズを継続していたのと重なる時期、チリにこの傑作があったのを知る事で現代映画史の捉え方に立体性が増すし、『光のノスタルジア』『真珠のボタン』のグスマンの原点にある戦闘性の質も確認できる。
アジェンデvsピノチェト、労働者と保守的な上位階層が表向きの対立の図式だが、右派と結託した米国という巨大な黒幕の存在が常に示唆される。1973年の「もうひとつの9.11」に至るまで撮影期間は半年強に過ぎないが、革命の全体像を四時間半に濃縮したようなダイナミズムだ。旧体制をミイラと呼んでいた一般の人々――熱い無名性の渦が現在に語りかける事は余りに大きい。
この短評にはネタバレを含んでいます