戦場のメロディ (2015):映画短評
戦場のメロディ (2015)ただの感動映画で終わらない韓国版サウンド・オブ・ミュージック
朝鮮戦争の真っ只中、戦場の地獄を経験して身も心も傷ついた若き兵士が、親を亡くした戦争孤児たちに音楽を教えることで救われ、やがて児童合唱団を率いる。
韓国版『サウンド・オブ・ミュージック』との触れ込みだが、しかしさすがは韓国映画。冒頭から凄まじい戦闘シーンが繰り広げられ、同じ民族同士どころか村人同士でも容赦なく殺し合う朝鮮戦争の悲惨さを徹底的に描く。
感心するのは、庶民を無力で哀れな被害者ではなく戦争の当事者として見据えている点。大義名分や私利私欲に振り回された大人たちによる負の連鎖を断ち切る存在として、若者や子供に未来への希望を託す。通り一辺倒のヒューマニズムとは一線を画す力作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます