サバイバルファミリー (2017):映画短評
サバイバルファミリー (2017)ライター2人の平均評価: 4.5
遅ればせながら鑑賞(汗)。確かに「必見」でした!
観るの遅れて本当スミマセン! まさに等身大目線のパニック&サバイバル。ブレーカーが落ちただけで「ああ~、もう」となるウチの家族は生き抜く自信ないなぁ…。インフラも何もかも全滅、廃墟化した都市や郊外はゲイハルター『人類遺産』の風景に近づいていく。
矢口史靖監督の映画を貫く基本はシチュエイション・コメディだと思う。それを極めて動的に、奇想天外に転がしていく事で独特の面白さが生まれるが、今回はあくまで延長のままザラザラした現実にタッチした。お見事。ロードムービーの道程(ロケが凄い!)でソロー流「自然の経済」にも辿り着くけど、その主題は前作『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』の続きでもある。
「いざ」という事態に備えるためにも見るべし
3・11以降、緊急避難バッグを用意しているが、「いざ」という事態は別次元のことと心のどこかで思っている。そんな柔な考えに喝を入れられました。スマホはもちろん、エアコンに冷蔵庫にTVと生活の大半を電気に頼っている身としては電気なしのディストピアはもうゾンビが徘徊する世界よりも怖い!? サバイバル能力ゼロな身としては小日向文世演じる父親の元々低かった父権がさらに失墜する様も他人事とは思えない。しかもダメダメな父親の哀切をも笑いにする矢口監督のセンスがいつにも増して素晴らしい。人間にとって本当に大切なものは何かを考えさせる映画なんだけど、説教臭さが全くないのでスルスルと心に入る快作だ。