暗黒女子 (2017):映画短評
暗黒女子 (2017)ライター2人の平均評価: 2.5
ケチはついたが、若手女優の競演は必見
”お嬢様が闇鍋”という設定に冒頭から大爆笑。
でも一応、学園のカリスマ女子の死因が、複数の友人たちの告発によって真実が浮かび上がる、映画『羅生門』方式のミステリーだ。
同じシチュエーションでも、それぞれ全く別の思惑で立ち会っていたという、交錯する愛憎劇を見せるには面白い。
一方で、シーンの反復は単調になりがち。
そうならないよう映像表現にもう少し工夫が出来なかったか?
欲を言いたくなる部分ではある。
ただ『百瀬、こっちを向いて。』で早見あかりの影の部分を引き出した耶雲哉治監督らしく、女優陣の個性を際立たせた手腕はさすが。
中でも平祐奈。伸びしろがまだまだありそうだ。
笑顔の下に隠された女社会の残酷なヒエラルキー
お金持ちのお嬢様ばかりが通う私立女子高を舞台に、全校生徒の憧れだった美少女いづみが謎の死を遂げたことから、清く正しく美しい女の園の裏側にうごめくドロドロとした人間模様が浮かび上がる。
いづみを慕う少女たちの、それぞれ微妙に矛盾する回想を比較しながら、謎の真相に迫っていく「藪の中」式のストーリー構成はそれなりに巧妙。笑顔の下に隠された女社会の残酷なヒエラルキー、それを生き抜かんがための思惑が交錯する辺りも興味深い。
ただ、登場人物の根底にまるで血が通っていないため、カリカチュアとしての少女マンガ的な荒唐無稽も、スタイルとしてのポップで退廃的な映像美も、全てが表層的に過ぎず説得力を持たない。