ホームレス ニューヨークと寝た男 (2014):映画短評
ホームレス ニューヨークと寝た男 (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
実は「他人事ではない」系の傑作かもしれない。
日本でいえば時代遅れなバブルおやじの厳しい末路といった具合にも受け取れるだろう。「ようこそマンハッタンへ。ここが僕の家だ」と冒頭から見栄っ張り全開。過去の自慢、現在の自虐。例えば故ビル・カニンガムのようなN.Y.名物からも、「ノマド」からも程遠く、完全に自己実現し損ねた都市の難民だ。
何を「優先」させるかは本人の自由や意志というより、むしろ価値観の根幹に関わっている。本作の痛々しいトーンは消費社会とシンプルライフ、両方の陰画である。筆者は『マイレージ、マイライフ』(09年)でG・クルーニーが演じた主人公をふと想い出したが、時代はさらに進んだ。
一見かっこいいけど、やっぱり家が無いのは切ない
映画のエキストラをしたり、ファッション写真家でもあるのに家賃が払えないマークを見ながらニューヨークの家賃の高さに驚愕。アパートを借りるためには給与証明なども必要と聞いているし、お金がないと住めない街なのだ。ただホームレスになっても離れられない魅力があるのも事実だろう。公衆トイレで身繕いしてぱりっとした姿でNYを闊歩するマークはかっこいいけど、夜が近づくにつれ不安が増す日常って大変だよな〜。カメラの前で明るく振る舞うマークが実家に戻るときに流す涙の切ないこと。でも貧困者なのに外見的にも生き方的にもそうとは見せない矜持がある限りはきっと生き抜けるはず。あ、貯金もしたほうがいいね。