おとなの事情 (2016):映画短評
おとなの事情 (2016)ライター3人の平均評価: 3
コレ、舞台化したら面白そう
イタリア人の携帯電話依存度は恐らく日本人以上。
男子は1日何回もマンマに電話し、老いも若きも公共交通車内で遠慮なく通話。
大声なので内容が周囲にダダ漏れだ。
そんな彼らが受信内容を公表して今更困ることがあるのか?とも思うが、そこはアモーレの国の人たち。
友人同士の会食の席で始めた”ゲーム”によって、
夫や恋人の秘密が明らかになり、楽しいはずの一夜が修羅場化する。
予想できる展開ではあるが、現代社会の本質を突いている。
それは、いかに現代人がスマホとばかり向き合い、
日毎触れ合っている身近な人とのコミュニケーションが不足しているか。
意外に奥の深いコメディなのだ。
大切な親友や伴侶の携帯こそ、覗き見しちゃいけません
友人宅の夕食会に集まった7人の男女。各人の携帯電話にかかってきた通話内容やメッセージを全員で共有するという、それ絶対やっちゃいかんだろう!というゲームをうかつにも始めたところ、案の定それぞれの隠していた秘密や本音が次々と露呈していき、友人関係や夫婦関係にひびが入っていく。
たとえ一番身近な親友や伴侶でも結局は赤の他人、知らないままにしておいた方が丸く収まることも沢山ある。お互いに秘密はなし、嘘はなしなんて、所詮は絵に描いた餅に過ぎないというシニカルな視点には共感する。見逃しがちなラストのトリックにも要注目。これがあるとないとでは本作の印象もガラリと変わるはずだ。
愛する人の全てが知りたい? やめときなさい!
交友関係や日々の予定が詰まったスマホは今や人生のブラックボックス! それを他人の目に晒すなんて危険極まりないゲームをしたらどうなるか? 他人に知られたくない秘密が次々と明かされ、人間関係が壊れる展開は予想通りだが痛々しい。愛する人の全てを知ったところでいいことばかりじゃないと大人は知ってるわけで、逆説的な教訓なのだ。秘密のない人は他人の秘密に寛容という真理も胸に刻める。そうそう、不倫していた芸能人のLINE会話の写真が流出した際に夫のスマホを盗み見た妻は責められなかったけど、あれって実は違法食行為。愛する人のスマホはそっとしておきましょう。と、他人に見られて困る写真やメールは消去マストで!