ワン・デイ 悲しみが消えるまで (2017):映画短評
ワン・デイ 悲しみが消えるまで (2017)人間の弱さに寄り添ったファンタジックなメロドラマ
妻の死のトラウマに囚われた保険調査員の男性が、交通事故で昏睡状態に陥った女性の幽体との触れ合いを通じ、深い喪失感から徐々に立ち直っていく。基本的にはファンタジックなメロドラマだが、多重構造的なプロットによって奥行きのある人間ドラマに仕上がっている。
それぞれ人知れず複雑な事情を抱えた登場人物たち。人生は綺麗ごとばかりじゃ済まされないが、しかし保険金を出し渋って粗探しをする保険会社のように、現代社会は人間の欠点や過ちをなかなか許さない。
これは、そうした杓子定規な正義や倫理観のせいで苦しむ人々の物語でもあり、生と死の狭間を無邪気に彷徨うヒロインは、そんな彼らの魂を救済する天使でもあるのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます