リベンジ・リスト (2016):映画短評
リベンジ・リスト (2016)ライター4人の平均評価: 2.8
オヤジ・アクションの次世代を担う逸材現る?
“私は怒り狂ってる”という意の原題こそ、「旧約聖書」のエレミヤ書から取られているが、職人監督チャック・ラッセル案件だけに、決して堅苦しくない“シネパトス→テレ東系”アクション。『ジョン・ウィック』同様、“そんな強いなら、物語の発端となる事件で、なぜボコられる?”という疑問が生じるが、ビリヤード玉がグラスを割る件など、劇画アクションとしての醍醐味はアリ。セガール並にモッサリしたアクションを魅せるトラボルタに対し、相棒役のクリストファー・メローニがとにかく美味しい。『マローダーズ/襲撃者』でもブルース・ウィリスを喰っており、ひょっとするとオヤジ・アクションの次世代を担う逸材になるかもしれない。
ヅラボルタ…いえ、トラボルタの生え際も気になるB級リベンジ物
チンピラ集団に最愛の妻を殺された元特殊部隊工作員をジョン・トラヴォルタが演じるリベンジ物。事件の背後には汚職政治家や汚職警官の陰謀が…ってな展開を含め、さすがにストーリーは手あかの付き過ぎた感が否めないものの、そこは『マスク』や『イレイザー』のベテラン、チャック・ラッセル監督。テンポ良く無駄のない演出で、普通に面白いB級アクション映画に仕上げている。
相棒役クリストファー・メローニ、妻役レベッカ・デモーネイも好演。トラヴォルタのマネキンみたいな髪の生え際は気になって仕方ないけど(笑)。もともとはニコラス・ケイジ主演、ウィリアム・フリードキン監督の企画だったらしいが、そちらも見てみたかった。
ニコケイ物件かと思ったらトラボルタ、でも同じテイスト!?
目の前で強盗に妻を殺害された男の復讐譚、と一言で説明できる映画に新しさはない。普通のおっさんに見えた主人公が実は特殊部隊の工作員ということで予想通りに物語は進み、悪党も“いかにも”な感じ。破産後、小金稼ぎに余念がないニコラス・ケイジが主演しそうな作品なのだが、J・トラボルタが渋みをきかせて頑張っている。だからといって高級感が出るわけもなく、B級道まっしぐら。それこそが本作に魅力! 主人公に手を貸す工作員仲間役のC・メローニーは体の動きもシャープだし、コミックリリーフとしても意外な上手さ。バディものとしても見応えあって、何も考えずに楽しめるよ。
一見、「ジョン・ウィック」の線ではあるが
映画の初めで、主人公スタンリー(ジョン・トラボルタ)の妻があまりにも無情な形で殺されてしまい、彼が悲しみにくれるあたりは、説得力がある。警察の対応に不満を持つところも。だが、その後は、ちょっと都合が良すぎ。腐敗がまつわるのだが、そこもステレオタイプでリアリティがない。そこそこのスリルとアクションはあるので、B級映画、あるいはテレビドラマくらいのつもりで見るなら悪くないかもしれないが、新たな「ジョン・ウィック」か、という期待は、持たないほうがいい。