ハローグッバイ (2016):映画短評
ハローグッバイ (2016)ライター2人の平均評価: 3
菊地健雄監督の職人技光る
このテの女子高生モノは、自主上がりのドルオタ監督が撮ると、気持ち悪くなりがちだが、さすがは助監歴長い職人、菊地健雄監督。演者との距離感はしっかり作品に表れ、渡辺シュンスケの起用やメロディーがキーワードの展開など、いかにもソニーミュージック製作な仕事としてもキッチリこなしている。世代を超えたコミュニケーションなど、かなり擦られたネタだけに、尺をコンパクトにまとめるなど、あざとさしか感じなかった前作『ディアーディアー』と比べても、さらに器用さが際立っているが、それにしても『昼顔』『ここさけ』と、髪型ひとつでキャラを変えてくる萩原みのり(ソニー所属)。「オモコー」出身者の勢いを感じずにはいられない!
少女たちは本音を隠して仮面をかぶる
目立たない優等生とクラスの人気者。まるで正反対の女子高生2人が、近所に住む痴呆症のお婆さんを連れて、初恋の男性に宛てたお婆さんの手紙を届ける旅に出る。
学校であれ会社であれ、人は誰もが多かれ少なかれ表向きの顔を演じている。家族を心配させないため、自分の身を守るためなど理由は人それぞれだが、しかし本当の自分とのギャップはいずれ重荷となる。多感な年齢の少女なら尚更だ。その揺れ動く感情を繊細に捉えた青春ドラマとして共感できる点は多い。
ただ、初恋の人を想い続ける痴呆症の老女役に、もたいまさこはちょっと違うかな。ここは例えば、市原悦子や岩本多代のようなタイプの女優さんの方が適役だったろう。