ハートストーン (2016):映画短評
ハートストーン (2016)ひんやりした空気の中で、肌がほんのりあたたかい
いつも光が弱く、大気がつめたい、アイスランドの小さな漁村。そこで暮らす十代の初めの少年少女たちは、それぞれに悩みを抱えていて、惹かれあうのは必ずしも恋というものと同じではないかもしれない。そんな彼らが、肌にそっと手を触れたり、短い髪の間に指を走らせたりする。ひんやりした空気の中で、肌がほんのりあたたかい。
本作の魅力は、そんな彼らの微妙な心の動きを、彼らの肌の触れ合いの感触や温度をも含めて描こうとするところにある。その演出が、思春期の入り口の少年少女たちの、どこまでが自分の気持ちで、どこまでが身体の変化によるものなのか、それが自分でも判別つかない危うい状態をそっと捉えている。
この短評にはネタバレを含んでいます