ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ (2014):映画短評
ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ (2014)ライター2人の平均評価: 2.5
2人の天才建築家の知られざる愛憎劇
20世紀の伝説的な女性建築家アイリーン・グレイと、彼女の才能に嫉妬と羨望の眼差しを向けた建築界の巨匠ル・コルビュジエ。この2人の愛憎入り混じる複雑な友情関係が描かれる。
とはいえ、内容的には芸術論やデザイン論の比重が大きすぎて、肝心のストーリーがなかなか見えてこない。というか、そもそもエピソードを羅列しただけで、物語として成立していないのだ。この分野に関心がなければちょっと厳しい。
ただ、アラニス・モリセットが「暗い日曜日」で有名なシャンソン歌手ダミアを演じていたり、『アウトランダー』のカトリーナ・バルフが小さな役で顔を出していたりと、意外性のあるキャスティングは見どころかもしれない。
男の嫉妬がガラスの天井を作ることもあるよね
国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたことで日本での認知度も高い近代建築の巨匠ル・コルビュジエ。そんな彼が海辺のヴィラ<E.1027>に固執することで主人公アイリーンの才能を浮かび上がらせる構成が面白い。恋愛映画と思いきや、そこにあるのは嫉妬と憎悪が渦巻くライバル関係だ。アイリーンの才能に嫉妬したコルビュジエが嫌がらせを続ける姿は滑稽だが、これって実は働く女性が感じるガラスの天井と同じ? 彼女がデザインした<E.1027>にエロい壁画を描き続け、俺色に染めてやるとあがくコルビュジエに話題のセクハラ製作者ワインスタインがだぶった。ただしヴァンサン・ペレーズの怪演には拍手を送ります。