台湾萬歳 (2017):映画短評
台湾萬歳 (2017)雑誌やTVでは伝わらない台東人のリアル
雑誌やTVで取り上げられる台北といえばグルメや温泉。楽しい〜。でも台湾人の人生観や生活感に弾丸旅行で触れられるわけはなく、やはり頼りになるのは酒井充子監督の台湾三部作だ。最終章の本作は台東の漁師夫妻とブヌン族の人々に焦点が当てられ、日本統治下での移住の記憶やいまでも受け継がれている日本の漁法や食文化が紹介される。前2作は元新聞記者らしいジャーナリスティックな視点が強調されていたが、今回は地元の人々の視点とほぼ同列な印象。漁や畑仕事に同行し、旧正月の宴にも招待されるのは、15年も現地で足繁く取材した監督だから築けた関係性のはず。なので、画面を見ながら台湾の歴史や文化をさらに詳しく知りたくなった。
この短評にはネタバレを含んでいます